6月4日~10日まで歯と口の健康習慣
歯・口腔の健康
歯と口は、単に栄養を体に取り込むだけではなく、よく噛みおいしく味わうことで肥満防止や脳の活性化、ストレス解消など心身の健康につながっています。また会話をする、さまざまな表情をつくるといったコミュニケーションをとるためにも大切な役割を担っています。
【歯科保健の重要性】
・歯科疾患は有病率が高く、特に2大歯科疾患であるう蝕(むし歯)と歯周病は歯の喪失原因の約9割を占めます。歯の喪失は口腔機能の低下をもたらし、QOLを大きく損ないます。
・う蝕と歯周病は不可逆的に進行するため、乳幼児期からの一体的な予防対策が重要となります。
【わが国における歯科保健対策】
・わが国の歯科保健対策は『地域保健法』に基づき、保健所と市町村保健センターが中心となって行われています。一方、市町村による健康増進事業(健康診査・保健指導)は『健康増進法』が法的根拠となっています。ライフステージごとの健診などの事業は『母子保健法』『学校保健安全法』などで規定されています。
・1989年に厚生省と日本歯科医師会から80歳で20本の歯を保つことを目的とした8020(ハチマルニイマル)運動が提唱され、現在は8020運動・口腔保健推進事業が実施されています。これらの施策を総合的に推進するため、2011年に『歯科口腔保健の推進に関する法律』(『歯科口腔保健法』)が成立しました。
【ライフステージごとの歯科保健対策】
・歯科保健対策の中心となるのは、歯の喪失の2大原因であるう蝕(むし歯)と歯周病の予防です。どのライフステージにおいても、う蝕予防の基本はフッ化物の応用、歯周病予防の基本はブラッシング・歯間部清掃です。母子保健や学校保健の現場では、フッ化物洗口やフッ化物歯面塗布の集団実施の普及が進められています。
・その他、口腔機能が低下した高齢者では誤嚥性肺炎が問題となっています。ライフステージごとの特性に応じた歯科保健対策も必要です。
【歯周病とは】
・大人の歯は、親知らずを除くと上下左右に7本ずつ、計28本あります。40代で1本の歯を失い始め、50代で2~3本、80歳~84歳では平均13本の歯を失っています。(平成28年度歯科疾患実態調査)40歳以降、歯を失う最も大きな原因となっているのが、歯周病です。
・歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素で歯ぐき(歯肉)に炎症が起き、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。しかし、初期段階ではなかなか自分自身で自覚できるような症状は出てきません。気になる症状があったら、歯科医療機関での検査を受ける必要があります。
<症状>
歯周病は、歯の周囲の汚れ(プラーク)のなかに含まれる細菌の毒素の影響で、歯ぐき(歯肉)に炎症が起きて、腫れたり、出血しやすくなったり、また歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていき、歯がグラグラしたり抜けたりする病気です。歯周病が進行するにつれて、自分でも気がつくような症状がしばしば現れますが、初期の段階ではなかなか自分自身で気がつくような症状は出てきません。次のような症状があったら、歯周病の可能性があります。歯科医療機関で検査を受けてみる必要があります。
<歯周病のセルフチェックリスト>
・朝起きた時に、口の中がネバネバする。
・歯磨きの時に出血する。
・硬いものが噛みにくい。
・口臭が気になる。
・歯肉がときどき腫れる。
・歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
・歯がグラグラする。
<歯周病が起こりやすい方の特徴>
次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。
・中年期以降の方
・喫煙者
・妊娠中
・糖尿病にかかっている方
・歯磨きの仕方が悪い方
これらにあてはまる方は、歯周病のリスクが高いと言われています。いちど歯科医療機関で検査を受けることをお勧めします。
【歯周病と糖尿病の深い関係】
糖尿病になると歯肉の毛細血管の血流が悪くなって免疫力が低下し、口の乾燥など歯周病原菌が育ちやすくなる環境もでき、歯周病が悪化しやすくなります。逆に、歯周病が重症化すると、免疫の過程で作られるサイトカインという物質(TNF-a)が歯肉の毛細血管から血流に乗って全身に行きわたり、インスリンの働きを落とすため糖尿病が悪化することも分かってきました。
【歯周病の改善・予防法】
<毎日のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアです!>
①歯肉の境目に歯ブラシの毛先を当て、小さな動きで歯垢をとります。
②磨きにくいところや歯並びが悪いところは、ワンタフト(ポイント・チップ)ブラシが便利です。
③歯と歯の間の歯垢は、フロスや歯間ブラシを使ってとります。歯ブラシだけでは60%しかとれません。
④自浄作用がある唾液がたくさん分泌されるように、ゆっくりよく噛む習慣をつけましょう。
⑤歯垢が固まった歯石は自分ではとれません。歯科医師・歯科衛生士に磨き残しの癖等をチェックしてもらい、定期的に健康診断と歯と口のクリーニングを受けましょう。
〇 株式会社ウィズメディカルサービス 〇
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(2023年6月5日)